Market Trend ホテル | 市場動向

ホテル市場規模

日本のホテル市場規模は約2兆8,509億円(前年度比0.5%増)

政府は、経済政策の1つとして観光業の拡大を盛り込み、観光訪日外国人観光客数の目標を2030年に6千万人としています。ビザ規制緩和や積極的な海外プロモーション活動の結果、訪日外国人は順調に増加を続けていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により渡航規制が強化された2020年4月から約2年間、インバウンド市場は消滅し、旅行市場全体としても壊滅的な打撃を受けました。しかしながら、現在は繰越された需要を背景に市場は回復しており、時間をかけずコロナ禍前の水準に持ち直すものと考えられています。

旅館・ホテル市場の売上の推移

2022年10月時点までの各社業績推移を基にした2022年度通期の旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は、前年度比1割増の3.1兆が予想される。21年度の2兆8509億円(0.5%増)に続き、2年連続で前年度を上回る見通しとなる。前年度比40%超減と過去に前例のない落ち込みを記録した20年度(2兆8360億円)をボトムに、市場も回復傾向へと向かっている。

※出典:2003年から2017年は日本政府観光局(JNTO)

国内延べ宿泊者数・訪日外国人観光客数の推移

  • 日本国内の宿泊施設に宿泊した延べ宿泊者数は2009年以降右肩上がりに増加を続け、2019年までの10年間で1.98倍の約5.96億人泊に達した。
  • また、日本国内の延べ宿泊者数のうち、外国人が占める延べ宿泊者数も増加を続け、2019年までの10年間で6.4倍の約1.16億人泊に達した。

※出典:観光庁 観光統計「宿泊旅行統計調査」

訪日外国人観光客数の推移

出典:日本政府観光局(JNTO)

観光目的の変化

滞在の長期化と、地域還元志向の高まり

コロナ禍の不可逆的なライフスタイルの変化や、それ以前から継続して見られる社会的トレンドは、今後も旅行の在り方に大きな影響を及ぼすものと考えられています。
短期的には、コロナ禍で繰越された需要による旅行費用の増加によって、中長期的には、テレワークの普及により仕事が旅行を妨げる要因でなくなったことによって、平均宿泊数が伸長する傾向にあるものと思われます。また旅行の目的も、より個別性が高く、地域特有の体験を求めるようになり、従来よりも新しい場所を目指す傾向がみられています。その中でも特に、サステナビリティ希求の価値観の浸透による「地元還元志向」は高まりを見せており、自らの満足のみならず、社会的な影響を与えられるかどうかということも、消費の判断基準の一つになりつつあります。

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ「アフターコロナの新たな旅行傾向」より

タイプ別 ホテルオープン計画数

出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ「アフターコロナの新たな旅行傾向」より

地域別タイプ別 オープン計画数

4スター・5スターホテルの立地数

※出典:みずほ総合研究所「ホテル市場の変調の兆しをどうみるか」

稼働率と宿泊単価の推移

近年の訪日観光客の増加は、客室稼働率に大きな影響を与えています。
2018年の稼働率は、全国平均で79.9%となりました。
また、稼働 率の増加が上がったことで、平均単価も上昇しています。

稼働率の推移

日本の宿泊施設の定員稼働率の推移

  • 日本の宿泊施設の定員稼働率の推移は、2011年以降右肩上がりに向上していた。
  • コロナの影響から、2020年、2021年は20%弱となっている。

※出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」より、観光産業ニュース「トラベルボイス」作成

宿泊料金推移

※出典:日本経済新聞「国内ホテル、客室単価が回復基調 稼働率は60%超続く」(2022年9月6日付)

※注1:消費税引き上げの影響を除く。
※注2:2018年は6月までの値で延伸
※出典:みずほ総合研究所「ホテル市場の変調の兆しをどうみるか」
総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成